
アレルギー検査では陰性と言われたのに、痒みや涙やけ、軟便といった症状がなかなか改善しない。そんな悩みを抱える飼い主様は少なくありません。原材料表示をしっかり見てフードを選び、気になる食材を避けているのに、思うように状態が安定しないこともあるでしょう。
実際、私自身、愛犬のうち1匹が食物アレルギーが疑われたものの、同じ原材料でも問題ないフードと合わないフードがあり、原因の見極めが大変だった経験があります。
このようなときに知っておきたいのが、「食物不耐性」です。この記事では、アレルギー検査が陰性なのに症状が続く理由や食物不耐性、食事を見直す際のポイントについて解説します。
執筆者:高田菜月(たかだなつき)
保有資格:ペットフーディスト、犬の管理栄養士、ペットフード安全管理者、犬猫アレルギー管理アドバイザー、犬の腸活管理アドバイザー など25種以上
これまでに1000種類以上のドッグフードを検証し、犬の食事や健康に関する記事を多数執筆・監修。海外のCPD認定講座で犬の栄養学や生食、ウェルネスについても継続的に学んでいる。
ペットの専門家集団「いぬのことば」や老犬のためのオンライン相談窓口「いぬのじかん」も運営。
アレルギー検査が陰性なのに愛犬・愛猫の症状が続く理由

アレルギー検査が陰性なのに愛犬や愛猫の症状が続くときは、検査で確認できる反応と実際に起きている不調の原因が一致していない可能性があります。
一般的なアレルギー検査でわかるのは主に免疫が関わる反応
食物アレルギーを調べる際は、除去食試験や食物負荷試験、皮内検査のほか、IgE検査やリンパ球反応検査が行われます。IgE検査やリンパ球反応検査で確認しているのは、主に免疫が関わる反応です。
- IgE検査:特定のアレルゲンに対するIgE抗体の反応を調べ、主に即時型アレルギーの可能性をみる検査
- リンパ球反応検査:特定の食材に含まれるタンパク質に対するリンパ球の反応を調べ、主に遅延型アレルギーの可能性をみる検査(※犬のみ対象)
これらは免疫システムが過剰に反応しているかどうかをみる検査であり、食事による不調すべてを評価できるものではありません。
食物不耐性はアレルギーとは別の角度で考える身体との相性
食物不耐性は、食材や成分との相性、消化・吸収のしやすさなどが関係して起こる非免疫性の反応です。代謝反応、消化管運動の乱れ、腸内環境の変化などが関わることもあります。下痢や軟便、嘔吐といった消化器症状が中心になりやすく、アレルギーとの見分けがつきにくいケースも少なくありません。
愛犬・愛猫の不調が続くときは食事の見直しも必要

不調が続くとき、原材料名だけでは見えてこない「加工による違い」が身体に影響していることがあります。
タンパク質は熱や圧力の影響を受ける
タンパク質は熱や圧力の影響を受けるとその立体構造が崩れる「変性」を起こします。この変性により消化のしやすさに違いが生じ、胃腸での消化・吸収に影響することがあります。
同じ原材料でも加工のされ方で性質が変わる
生肉に近いのか、ミールなのかなど、加工の過程で加熱や乾燥を繰り返すと、タンパク質の変性や脂質の酸化が進み、胃腸に負担をかけやすい状態になることもあります。
加工温度による身体の受け止め方の違い
- 非加熱・フリーズドライ:原材料本来の状態を保ちやすく、消化率も高い傾向
- 低温加熱加工:急激なタンパク質変性は起こりにくく、消化負担も低め
- 高温加熱加工:熱の影響を強く受けやすく、タンパク質の変性や脂質の状態変化が起こりやすい
愛犬・愛猫の食事選びで活用したい不耐性検査
食物不耐性は一般的なアレルギー検査では「陰性」となるため、不耐性検査が有効な選択肢となります。
不耐性検査では、肉類や穀類だけでなく、ミールなどの加工原材料、保存料などの添加物との相性も把握しやすくなります。「何を避けるか」だけでなく「どの成分に注意して選ぶか」を考える大きなメリットがあります。
まとめ|不耐性検査は愛犬・愛猫に合う食事を考える出発点
不耐性検査は、愛犬・愛猫にとって何が悪いかを決めつけるためのものではなく、どのような食事が合うかを考える出発点です。食事選びに迷ったときこそ、原因探しではなく、その子に合う条件探しへ視点を変えてみてはいかがでしょうか。